俺の心をのぞくサルトルのいる「ソフィーの世界」を読んだ
今更ソフィーの世界を読みました。新装版になってコンパクトになっています。
ひと昔のブームになった頃は、バブル崩壊後の時期でみんなが自分の人生を見つめ直す為に哲学を求めた背景があってブームになったそうです。
本がブームになるっていうと「時々本を読みます。話題の本なら手に取ります。」くらいの人が買い求めるレベルですよね。 そんな人たちが買ったとしても、半分くらいは読み切らなかったかよくわからないで読んでたんじゃないかと思います。 だいぶ読みやすいと思うけど、これはやっぱり哲学に興味がある人じゃないと面白くないんじゃないかと思います。小説でありつつ教養・哲学の本です。
概要
ちょこっと不思議な事が起こる世界で先生に哲学を分かりやすく教わりながらソフィーは哲学について学んで行きます。 原始哲学から順を追って話し言葉で説明されているので分かりやすい。だけど一度にこんなに沢山の哲学者の話を読んでも頭には残りにくいですね、面白かっただけに悲しい。 上巻最後にまさかの気づきがあって、下巻に入ってどう著者はかましてくるんだろうと期待が膨らむ!実際は期待を下回る終わりを迎えてしまいました。。。ソフィーと同じようにヒルデ、大佐さえも・・・!みたいなのを期待してたんですけどね〜。
以上、概要と小説的な部分についてでした。以下、哲学的な部分について。
哲学と宗教の違い
世の中の成り立ちを説明しようという古代の哲学はどうしても不確定な部分を根拠にしがちなので、 間違っていないかもしれないけど信じることを前提としていて宗教のようであった。 仮に信じてそうだと前提に立った場合、確かにをれで説明できて心を落ち着かせる事はできるかもしれない。反論しようがないしね。 その時代その時代の世の中の成り立ちを考えることはどれもその時代では定説で間違いでない。本当宗教みたい。 神があろうがなかろうが世の中の成り立ちを説明するのが哲学で、神(や仏やetc)を使って世の成り立ちを説明したり道徳感や平穏を与えるのが宗教って感じかな。 今回読んだ上でそう区別してみました。目的が違うだけでほとんど近い所にありますね。哲学と宗教って。
宗教ぽさがなくなってニーチェが神は死んだと言うようになる頃には、 神がどうとか世界や人間を作ったものはという話から離れていて、哲学の別の段階にいたる。 せっかく分かって来た気がした哲学がよくわからなくなってきたw
サルトルは僕の心の疑問を覗いた?
哲学的な部分で特に印象的だった箇所は、サルトルの[実存主義]。
「なんの為に生まれたのか。なんの為に生きるのか。」
僕は何年もの間、この問いをふと思い浮かべては考えるのですが、解決できずにぶち当たっていました。それに対するサルトルから答えが書かれていました。
- 自分的の解釈! サルトル曰く「実存は本質に先立つ」⇒「人間が実際に存在することは、人間の本質(存在の意味)よりも先である」 なので「なんの為に生まれたのか」と不安になってしまうが、人間に生まれの意味は元々ないとサルトルは言っている。
これを「人生に意味なんてないなら世の中をめちゃめちゃにしちゃってもいいじゃないか」と悲観的に暴力的な解釈してはいけない。 実存の後に本質(意味)を付けて行くのが人間だという。元々意味の無い人生に意味を付けて行くのが人生だと言っている。 元々意味がないなら気が楽だ!これはサルトルに励まされた気がする。
「人間は自由の刑に処されている」この言葉もサルトルの言葉で、衝撃を受けた。ものすごく的を射ている。 長い歴史の中で(一部の)人類は自由を手にした。自由を手にしたがそれは良い事ばかりでもないんだよね。 何かをしようにも責任が重くのしかかる。それを想像するとどうしてもチキンになって行動出来なくなってしまう。 僕もみんなもがんじがらめになっている人ばかりなんじゃないかな。
なんだかサルトルは僕の心を知って相談役になってくれているようだった。(なんか新興宗教に感化されたみたい?w) 社会には自分の考えに沿ったことばかりではないけども、人の心や考えについて高濃度で考えるのが哲学なのかもしれない。 (けどそれって宗教もそうだよね・・・やっぱり違いが分からなくなって来た^^;)
おわり
哲学の歴史に触れながら、自分の考えに近いものを探すのも良し、新しい考えを仕入れるも良し。 15才を迎えるソフィーとなら難しく考えずにそれが出来る。ボリュームはそれなりにあれど、必要な分を食べやすくほぐしたのがこの本じゃないかと。今こそ。
おすすめ度:★★★☆☆(個人的には凄く良かった!けどみんな好きかはちょっとわかんない。)
## ひとりごと 文章を速く書いて、読みやすく書くのって本当に難しい。書き始めると書きたい事も増えて行くしまとまらない。難しい難しい。