ケントのブログ(ふわふわ)

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「世界のニュースがわかる! 図解地政学入門」

思ってた地政学の本とは違っていました。 以前地政学の本としてはじめて読んだ本では、シーパワー、ランドパワーなど地政学的な用語が登場したり、地政学的な視点から地球の地図の見方を知る本で、こういう学問があるのか!と世界が広がったようでワクワクしたんですが、今回はそうではありませんでした。(その地政学の本の名前を思い出せない…)

現代の正解への影響力あるプレイヤーの中国、ロシア、ヨーロッパ、アメリカの4カ国をそれぞれ1章ずつ取り上げて、近代の戦争の歴史を中心に解説がありました。歴史的側面を語らず地政学を語れないのかもしれないが、僕が読みたかったのは近代の歴史ではありません。そういう意味で「僕の持つ地政学のイメージ」と違っていた本ででした。 ただ小学校の頃から近代史以降あまり授業でやらないまま進級してきていたので、近代の戦争史として読む分には勉強になりました。(近代以降の歴史の指導は先生の政治思想がどうしても反映されてしまうから敬遠(している)されているらしい最近知った。)

4章を経た後のエピローグは日本の将来に関する章。それまでの4章での話がここでやっと意味をもつ感じがしました。印象的だったキーワードが2点。 「個別的自衛権集団的自衛権」と「民主的平和論」です。

個別的自衛権集団的自衛権

集団的自衛権について長く議論されていますが、僕としては判断できるような知見を持っていないし、意見を持つにしても感覚的にしか答えられないのでニュートラルな立ち位置を決め込んでいました。 個別的自衛権集団的自衛権の戦争リスクを実際のデータから反映させた数字で比較した場合、集団的自衛権を選択したほうがリスクが半減することが解説されていました。本著には簡単な表があり、それは実際のデータからの情報なので当然そこに恣意的な意図は含まれていないとのこと。

感覚的に説明するならば「色んな国と同盟を結んで大きく見せれば敵は攻撃しようとはしてこないよね」ということです。それを数字的にも示されていました。特に第二次世界大戦後の紛争のうち40%はアジアで発生していることなので、日本国民の戦争危機への当事者意識は不可欠だと思います。これはこの後の民主的平和論の話しにもつながります。 反対派の意見はここには書いていないので、そちらの意見を聞いてから僕の政治的なポジションを決めたいと思います。

民主的平和論

「民主主義国家同士は戦争をしない」という国際政治理論があるそうです。そして、それを民主的平和論といいます。全く戦争をしないという訳ではないが、「絶対的に確率が低い」と言えるそう。

民主的国家と独裁国家で想像してみると…戦争の気運が高まってきた時でも、「戦地へ行かされるのは自分たちだ」と考える人々は反戦派の政治家を選択するでしょう。それに独裁国家に比較すると言論統制がないので、政府は戦争回避の意見を多く吸い上げてナイスな方法で戦争回避出来たりするのかもしれません。 このことから政治的に民主的であることが戦争から遠ざける一因となるんですが、互いに貿易相手国の関係になり経済的に依存しあうことも戦争を遠ざける理由にもなるそうです。

こうなると「戦争のない世界」のためには民主的である必要があるという話になってきますね。完全な民主状態を民主度10とした時、アジアでは10に及ばない国が乱立しています。それも「第二次世界大戦後の紛争のうち40%はアジア」ということにつながっているんでしょう。ちなみに日本やアメリカは10で、中国・北朝鮮は-10〜-6です。

まとめ

求めていたことを知れる本ではありませんでしたが、アジア各国の体制や日本の位置取りのよっていかに危険な地域であるか、どういう体制としていくかの理想の形を学びました。だからアメリカは民主化民主化!と必死なんですね。 ただ民主化!と意気込んで吹き込んだアラブの春は、混乱のはじまりになってしまいました。何が何でも民主主義で!というほど簡単でもないというわけですね。 なんにせよ考えるための素地みたいなのを得たように思います。