夜行 by 森見登美彦
こじらせた大学生が京都を駆け巡る小説でドハマリし、それから森見登美彦さんの単行本化されている作品は全部読んでいます。
小説は比較的読む方ではありませんが、程よい刊行スピード*1ということもあって新作を待ち遠しくしている唯一の作家さんです。
最近は作家生活十周年ということで、ブログでは本やイベントの宣伝が増えてきています。長いことブログをウォッチしている者としては、森見節で生存確認的な投稿が続いていた頃が懐かしくも感じます*2。
そんなこんなで最新作の「夜行」の話でございます。発売を知り、骨髄反射的にamazonでポチリ。発売日には自動でKindle本が配信されるようにしておきました。
いつもの雰囲気とは違うよとブログで仰ってたように思います。確かにそうでした。
今となっては森見本にはとんちんかんなキャラクタが登場するのが当たり前だったんだなと思います。今回はそんなのは出てきません。
鞍馬寺の祭りの夜には、宵山万華鏡の様なポジティブな幻想的な雰囲気があります。ですがその他各地でのエピソードは、白昼だとしても想像を巡らせれば巡らすほど怖さが増すような怖さがありました。
ふと寝る前に思い返すと眠れなくなるような怖さ。子供のとき「こんなの読んで、夢に見たらどうしようか」と心配したことがありましたが、それを久しぶりに感じました。(が、案外ぐっすり眠れるもんですね。大人ってつまんないですね。)
あまりミステリー的なのを読まないので、普段そういうのを読んでたらもしかしたら大したことないのかもしれません。
夢って夢の中では成立してるけど、起きてから思い出すと辻褄があってない話だったりしますよね。そういう状況が完全には分からない怖さ。得体の知れない怖さとともに、全部が説明されるわけじゃないんだよ、全部分かるのが当たり前じゃないんだよという面白さを感じました。
怖さばかり書いてる気がしますが、多分誇張しすぎです。
いつもの森見登美彦ではないとも言えますが、底にある和製ファンタジー的な要素は健在です。
最近あまり本を連続して読むことはないんですが2日で読んじゃいました。
不思議な短編集に没入する感覚で、次っ!次っ!とめくっていました。
(話の終わり方どうしよう。)
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2016/10/25
- メディア: 単行本
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